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alovelog

続けられるよう頑張ります。

「ローマ法王の休日」は鬱映画(比喩的な意味でなく)

鬱展開とか鬱アニメとか、そういう単語って色々あると思うのですけど、
この「ローマ法王の休日」は間違いなく鬱映画です。

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鬱映画と言われれば、やれ「展開が期待したとおりでなく陰惨で、見た人がゲンナリする」とか
「主人公が散々な目に遭って、更に救いがない」とか「悪者が勝利するんだろう」とか
そういう事を想像されると思うのですが、これは徹頭徹尾鬱映画。
というのも主人公が精神的なストレスから鬱病に罹患する映画(と私は見ました)だからです。
鬱を題材にしてるんだからそりゃ鬱映画だよねという。はい。


◆汚いぞ日本の配給元
原題は「Habemus Papam」だそうで、法王決定みたいな意味らしい。
それを「ローマ法王の休日」とした。

邦題だけみて、以下のように勝手に想像しておったのですね。

「聖職(っていうのかな?)に就くものなら誰もが憧れるキリスト教界の頂点であるローマ法王
 そのローマ法王がある日ふとした事から街に飛び出した。
 ローマ法王は下町にある小汚いが活気のある食堂に転がり込む。店の主人夫妻は年頃の娘をもち、娘は早く家を出たいと思っていて親との衝突を繰り返している。なんかそんなの。
 その食堂を拠点にローマ法王は久しく忘れていた街を歩き、人に触れる。ローマ法王である事に周りの人は気づかない。世間の常識とのズレ、世間知らず。結構な年を取っているけど実は何も知らなかった。世界がこんなに色鮮やかで、エネルギッシュで、輝いているとは…
 食堂の娘の反抗的な態度を最初は理解できなかったが、そのうちなんやら知らんが解るようになり、こう、言い合いというか、理解を示して親への感謝とか、自分の人生への祝福なんかを伝える。ローマ法王ありがた過ぎワロタwww
 で、食堂夫妻と娘は仲直りするも、ローマ法王はお付きの人に見つかって帰る事になる。
 最後はなんか全世界に報道される映像の中で、食堂で出してるメニュー(なんか煮っころがしとかそんなん)が一番うめぇよね的な事言って周囲をキョトンとさせて終了。人生って素晴らしい!」

的な、ハートフルコメディ。
そりゃこれを期待するだろ。ていうかそれを狙って邦題つけてるだろ。


そしたら実際は鬱。鬱状況、鬱表現的に、キツイ映画でした。

・法王選挙で法王の座を「押し付けられた」新法王。
・バルコニーでの演説直前に逃亡。法王選挙が行われる施設の部屋に引きこもる。
・周りの司祭が説得するも聞かない。主よ助けて下さい。私には出来ませんと号泣。
・精神科医が法王を診断するも法王なので聞いちゃいけない事が多く診察も解決も出来ない。
・法王、数日の後外に散歩に行きたいといい、散歩に行ったところで遁走。
・法王は一旦解放こそされたが周囲が恐ろしいのか不安げな落ち着かない視線で背中も丸い。
・なんやかやで法王は縁あって見ることになった演劇の観劇中にバチカンの手に落ちる。
・法王が見つかったニュースは瞬く間に広まり、バチカンに戻る車には大勢の人だかりが。
・法王、周囲の熱狂は自分にとっては悪夢なのか、スローモーション、歓声は聞こえない。
・法王、バルコニーに立ち、演説を開始する。
・エンディング


お前、これワールドレベルのアンハッピーエンドだろ!ふざけんな!


法王はストレスから心を壊し、治す手立ても(法王という特殊地位により)失われた状態で街に出ます。
そこで安定した心を取り戻すというか、回復をするのかと思ったのですが、そうでもない。
救われそうなところでちょいちょい駄目になります。

つまりは誰も、何も救われない。
傷つけられ、心を壊した人、そこに追い込んだ周囲、誰も救われない。

コメディを期待していた俺は本当に裏切られました。
ローマの休日の王女を法王に入れ替えるだけで良かったやないか…
これを「ローマ法王の休日」なんて、コメディライクに紹介するって何なんだよ…
実際コメディだとは思う。
思うのだけど、鬱描写に救いがなさすぎるわ…


(でも、面白かったです)


これをコメディと胸はって言うには僕の心はヒビ割れているようです。
実際面白いし、コメディ部分、ジョーク部分もいっぱいあるけど、
作中の新法王の心中を察するに、しんどい映画でございました。


90年台後半流行ったイギリス労働者階級を描いた数々の映画の中で、
きっと人生賛歌みたいな内容だろうなと思ってみたらまさかの自殺エンドだった
マイネームイズジョー以来の衝撃でした。


ありがとうございました。