alovelog

続けられるよう頑張ります。(雑な)料理、サッカー見に行った時のこと、ランニングなどが大体の話題だと思います。

あなたのマグマは誰の形でもないあなた自身のマグマなんだから誰かに変えられる前に書き留めないと損だよという話~2019ルヴァン杯決勝戦、その補完の形~

旅程や準備

赤羽の様子やスタジアムの様子、

そうした事を全て描くには、

余りにも時間が足りない。

ここでは埼玉スタジアム2○○2*1に馳せ参じた一人、

アラブ三郎 alovesun

彼の心の補完の様子を語ることにする。*2

 


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PK戦になった時、全ての瞬間から絶対に目を背けないでいようと決めて、腕を広げて仁王立ちして、向こう側で展開する蹴り合い止め合いを見ていた。

 

試合が終わって、表彰式が始まる。頭の中はゴチャゴチャとしていて、言葉にならない。「振る舞うべき振る舞い」みたいなものも思いつかない。涙も出てこない。ただ、札幌の選手は見ていた。川崎の選手は見ようとも思わなかった。目を背けるという程ではないので、目に入る分はなんとなく見ていた。キラキラ輝く金色?の紙吹雪のようなものがメインスタンドに散らばっていてとても綺麗だった。そこに札幌の選手はいないし、俺の関心のない色の人たちがなんかまぁわちゃわちゃといた。嫌だなと思った。

 

長い時間が経って、選手たちがこちらに来る。頭の中はゴチャゴチャとしていて何か「するべき行動」「振る舞うべき振る舞い」みたいなものはやっぱり思い浮かんでこない。無論すごい試合で、もう少しで!という気持ちもあった。それは覚えているけど、負けた事実は変わらない。今目の前にあるのは「決勝戦で、負けた」という事実。選手が回ってくる頃、ふと離れた席にいた嫁様と目が合い、目が合うとお互い「ニッ」とする。そこで一瞬安心したのか、ふぐうッ!とこみ上げて目から汁が溢れた。勝ちたかったけど勝てなかったことは、やっぱり悔しいし、もったいないと思ったし、誰に対してか、申し訳ない、みたいな気持ちもあった。嫁様と喜びたかったと思った。なんかまぁそんなのがあって、なんか出たんだと思う。

 

ゴール裏の前で選手が手を上げ、コールを行う。なんかもっと、これからだとか、次勝とうだとか、そういう言葉が出るもんなのかと今なら思うけど、でもなんか違う。決勝なんだから次はない。これからというには余りにも先が長く、言ってるだけ感を自分で感じてしまう。ともあれ自分からは何の言葉も出てこないので、コールがありがたかった。自分の頭は混乱していた。人生で初めての状況に頭の中がオーバーフローしていた。選手に悪感情などあるわけもない。何がどうなってるのかは全くわからないが、悔しい勿体ない選手は凄いこれから強くなれるあらゆる考えや感情が一時もとどまらないでゴーッと頭の中でグルグルしていた。ぐちゃぐちゃだった。

 

ありがたい事に、やることはある。片付けだ。

片付けはいい。

単純作業は魂を磨く。

水鏡のような精神状態を作ってくれる事がある。

何せ今日は埼玉スタジアム2○○2*3のゴール裏を埋めた枚数のシートをたたまなきゃならんのだ。血反吐が出るぜ。

そもそも襷の本数も結構尋常じゃなく、なかなかの疲労感のまま、皆それぞれに車座になり、シートの格納に移る。

折りに触れビールだなんだの空きカップを放り込んだクソゴミ野郎に対する怒り*4があったりはするが、まぁとにかくやらなければ終わらないのは何でもそうで、特に片付けは苛立ちや甘えを許さない。本当に許してくれない。だから手を動かすしかない。

 

気のおけない札幌メイツ、いつものメンバーとあーだったこうだったと話す余裕も出てきた。作業は思ったより順調に進み、自分たちは17:30頃には埼玉スタジアムをあとにする事ができた。

 

真っ暗になった埼玉スタジアムから出ようとして、浦和の応援グッズが格納されたプレハブにぶち当たるなどひとしきり埼スタトラップにハマりつつ、ふと思った。

 

「川崎ムカつく……」

「俺は、川崎が、嫌いだ」

「俺は川崎を嫌っていて、川崎が本当に嫌いだ」

 

タイトルのかかった決勝戦という一切のエクスキューズを許さない究極の戦いを経て、「負けた時にこう振る舞うのがよい敗者」だとか、「勝った相手を見て目に焼き付けるべきだ」とか、そういうどっかで聞いたことある、正直俺も言ったことあるような、だけど、実は個人的には全然理解できない、俺からしたら綺麗事たち。こいつらを介さない、自分自身の内側から湧き出る純粋で不可侵な感情。それが「川崎が嫌い」だった。だったから、仕方ない。決勝戦で敗退したあとの、嘘偽りない俺自身の感情だ。

書いてみるとホントにどうしようもない感情なんだけども、俺にとっては札幌の応援を始めてから、それなりに色んな場面を見てきた中で、ようやく出会うことが出来た、他人を一切気にしない、自分の中から湧き出た、純粋な、自分で言葉にできた感情なので、とても貴い。

大舞台で敗退したあと振る舞うべき振る舞い、何かすべき見本のような行動、自分の中になんとなくあった見栄というか規範。そうした心の鎧のようなものが、見事に全く機能しなかった。決勝敗退ってとんでもない。いつもは保っていられる、そうした余裕を一切排除する程強烈に、何の言い訳もなく勝者と敗者を分かつ。それが、決勝戦。俺は、決勝戦の意味を知った。

 

負けたことは当然悔しいし悲しいし、絶対次は勝ち取りたいんだけど、ともかく、この舞台に連れてきてくれた北海道コンサドーレ札幌コンサドーレ札幌、札幌が、俺は本当に好きだし、誇らしい。感謝しかない。だって、俺は札幌を応援していて、ここまで純粋に「相手*5が憎い」と思えた事はない。それが、今回は川崎が本当に憎い。嫌いだ。俺が、誰も気にせず、負けた事から湧き上がってきた誤魔化しようのない感情を認識し、こうして、受け容れている。何の誤魔化しもないのだ。*6俺はようやく、虚勢を張らずに、負けを受け容れる事が出来た。それは、本当に勝つしかない本当の戦いをした、その舞台にコンサドーレが連れてきてくれたからだ。

 

「負けた事に対して自らの内に湧き上がってくる感情や考えを、諸々誤魔化さずに認識して、それらを受容する」

露悪も偽善も俺には不要であり、勝った負けたで生じる自分の中の感情を、自分で認識し、濁らせてしまう事を自分でしない。

 

自分が自分である事ができる。

純粋な自分と会える。

それが、俺にとっての札幌なんだ。

*7

 

札幌の色んな人と、決勝で何を感じたか、話せたら素敵だと思う。

 

「究極の戦いの後に自分の中に発生した、自分だけの不可侵で純粋な貴い感情」を、自分の言葉で書き留めてくれたらとても嬉しい。

他人の作る枠*8に流し込まされて、折角湧き出た「お前だけのマグマ」が、他人の形に変容されてしまう前に、どうか、書き留めて欲しいと、勝手ながら願っている。

 

また、純粋闘争をしよう。

言い訳抜きの、全員剥き身にさせられる、あの究極の戦いをしよう。*9

そのために、まずは健康でいよう。

次の機会を、できるだけ元気に、迎えよう。

 

そのための第一歩

「俺たちのこの怒りは名古屋にぶつけよう」

11/2、札幌ドームでやりきろう!

 

~ENDE~

*1:公式表記

*2:新世紀エヴァンゲリオンTV版第弐拾六話 世界の中心でアイを叫んだけもの

*3:公式表記

*4:毎回あるんだが、ホントにやめろ

*5:今回なら川崎

*6:どんなに誤魔化しても、決勝戦で負けて、欲しかったものを眼の前で奪われた事は覆らず、まさに眼の前の相手が俺からそれを奪ったのだ。憎い以外の言葉が出ない。俺は。

*7:この、言い訳抜きの、決勝戦という見たことの無い景色の中で、俺は改めて札幌を見出した。ここに連れて来てもらうまで、俺はいつも何かを気にして、自分や札幌を守ろうと、鎧を着ていた。でも、札幌は本当の自分になる、鎧を脱ぐしかない、究極の舞台に俺たちを連れてきてくれた。毒親だった俺は、成長した息子であるコンサドーレに「もういいんだよ」と鎧を脱がされた。俺は、縋り付いて泣くしかない。そんな感覚が、あるのだ。2017年の、アウェイ浦和戦。1-3から2-3として負けたチームに慰めの拍手を贈る様を見ていて、凄く嫌だった。俺はそれが悔しくて泣いた。あの頃から、本当は早く剥き身の戦いを、言い訳抜きの決戦を、待ち望んでいたんだろう。

*8:「感動をありがとう」的な感動ポルノとかそういうの

*9:そして自分自身の、コアな自分に、会おう