伝え方と伝わり方
スタンダール・リエージュの川島選手が自分以外の選手の応援をしたことに対して不満というか、そういうコメントをした事についての解説記事を読んだ。
◆登場人物
川島永嗣(スタンダールGK:現正GK)
シナン・ボラト(スタンダールGK:川島以前の正GK)
ミルチェア・レドニク(スタンダール監督)
スタンダール首脳陣
スタンダールサポーター
◆記載されている経緯
2012/6 ボラトが移籍しかけるもケガにより断念。
2013/1 ボラトが移籍しかけるもスタンダール残留。
スタンダール首脳陣、ボラトが今シーズンの今後の試合でボラトを出場させない事を明言。
レドニク監督が発言を撤回させようとするも失敗。
2013/2 スタンダールサポーター、川島が出場した試合でボラトの応援を行う。
◆川島選手のコメント
「チャントには腹が立ちました。僕に満足していないとか、批判したいにしても、
ピッチにいない別の選手の名前をチャントするより、自分に言ってほしいですね」
◆行動の意味はなんだろうか
川島選手が怒るというか、嫌な気分になるのも仕方ないと思うのだけど、
この話に関して川島選手は結構蚊帳の外なんじゃないだろうか。
ボラト選手の応援をしたのは、
「首脳陣への抗議」と「ボラトへの応援」を表現したかったのだろう。
「川島選手が目の前で試合やってるのは解ってるけど、
自分たちは敢えてボラト選手の応援をする。
それぐらいボラト選手へのクラブ側の仕打ちに対して怒っているし、
ボラト選手を支えたい」
的な。
川島選手はいい面の皮というか、なんか当て馬的な、可哀想な役割である。
本命彼氏に「放っといたら私他の男子と仲良くしちゃうんだから」ってのを見せつける為に
他のクラスのヤリチン男子に接近し、本命彼氏の嫉妬を買おうとしたんだけども
嘘デートのつもりがファストフードで薬を盛られて、
気がついたらそこには複数の見知らぬ男が…
「おい、ホントにこいつ好きにしていいのかよ」「むーむー!(猿轡)」的な。
うん、途中からっていうか全然違う。過去何千何万と薄い本に描かれたであろう事しか言えず、
力不足を痛感している。本当にすまない。
ともあれ、スタジアムで起こった現象は川島選手が捉えたような捉え方も可能なものであるし、
上記のような解釈(チーム批判とボラト支援のみで、川島へ含むところは無い)だって、
サポーターの事を良く考え過ぎなのかも知れないって事は、十二分にあり得る。
◆「逆説的なやり方で何かを伝える」という難しさ
普段しない事を敢えてやる事(普段してる事を敢えてやらない事)で
「抗議の気持ち」や「危機感」を伝える。
というのは特に危機的状況、ジリ貧状況、やられかけ、
とにかくまぁあらゆる逆境苦境において使用される手法であるけども、
これがそのまま伝わるかどうかは、
伝えたい相手の感情や、置かれた状況、普段から通じあってるかどうか。
そういう様々な要素が絡む話で、なかなかすんなり伝わるかは難しいところである。
(自分などはかなりニブチンな方なので、
スタジアムでのイレギュラーな行動の意味が現場でよく分かってない事もなくはない)
で、そういう
「伝わるか伝わらないか解らない行動」
に対して
「そんなんやっても意味ねぇよ」「自己満足だろ」
みたいな批判はまぁ、当然だけどある。
それは正当だし、真摯に受け止めるべき話ではあるのだけど、
では「何故そうした解りづらい行動に至ったのか」「行動の真意はなんだろう」
というような事を知る為に会話(言い合いでなく)があってもええんじゃなかろうか。
伝える側は後でもいいので、何故それをやったか、意図したところは何かは言える方がいいし、
見てる側は、行動を見て即座にダメダメとなるのでなく、
一応は何をしようとしたか、そこにどんな感情があるかを慮ってみると
もう少し杓子定規にハマって行かない、
目の前の時間をワクワクしながら楽しめるスタジアムになるのではないか。
そのような事を思った今回の騒動でした。
視野の狭さは思考の硬さにつながるので、
色んな場所、色んな人、色んな考え方に触れ、
枠を拡げておりたいものだなと思います。
以上