親子丼を作れたので嬉しい。
レシピの通りにやれば何の技術も要らなかった。みんなやろう。親子丼。
もうアレだ。やっていくぞ。
ショートコント「親子丼」
「私が……されれば、玉子*1には手を出さない。そうですよね?」
『ふふふ、そんなおっかない顔しなさんな。約束は守るさ……こちらから手出しはしねぇ』
「ああ〜!」
『ヒヒッ、一皮剥けば*2アンタも立派な蛋白質だなぁ。こんな親を見て、玉子ちゃんはどう思うだろうねぇ?』
「ううっ、お願い、玉子には……」
「あああ〜!」
『玉ねぎ塗れで醤油と味醂、砂糖まで啜ってやがる。こうなっちゃもうモモ肉様もただの蛋白質だ。そうだろ?オォン?』
「言わないで……」
「あの子*3だけは……私が……」
『ヒヒッ、随分気丈だなぁ?もうこんなに味がしみて甘辛くなってんのによぉッ!?』
「ああ〜」
「ああ〜 ああ〜」
(お母さん……)
『さて、そろそろいいかねぇ……』
「お母さん……」
「……!!!玉子!!!あなた、こんなところで何を……」
『ヒヒッ』
「騙したのね!あなた達最初から玉子を……!!」
『おおっと、勘違いすんじゃあないよ?玉子ちゃんはねぇ、自分の意志でここでこうしてるんだ』
「そんな……玉子……! 蕪の葉まで……そんな……」
「母さん……私、私……」
『感動の親子の対面だぁ!!』
「「ああ〜〜!!」」
『ホレッ ホレッ』
「あああ〜」
『オラッオラッ!』
「あああ〜」
「ハァ……ハァ……」
『クックック、へばってんじゃねぇよ。まだもう一仕事してもらわなきゃいけねぇんだ』
いつから歯車が狂ったのか、それはもう考えても意味の無い事だった。
ただ、いつからか、いつかこうなる。そんな予感めいた不安が、いつもあった。
モモ肉200g、ダシ60mlに醤油大さじ2、味醂大さじ2。更に砂糖を小さじ2。*4
三つ葉など私達には望むべくもなかった。
玉子は彩りだけせめてもの足しにと蕪の葉とさっくり混ぜ合わせられる。
炊きたての白いごはん*5の上で、私達はあさましくかっこまれていくのだ……
ただ一言残せるならば、蕪の葉はあんまり味がしないし香りもないので無理に入れなくて良いかなとは思いました。
〜fin〜