【KING OF PRISM -pride the HERO-のネタバレというか、最終演技の話です】
劇中最終演技の直前、如月ルヰとの短い会話。
ルヰはprideではなくlunatic Destinyを歌った。何故勝確*1のprideを歌わなかったと聞かれ「僕に出来る、最高のプリズムショーをしたかったから」と回答を得る。
如月ルヰは、プリズムキングになるためでなく、シン(の中に在るシャイン)への思いを最大に表現するショーをしている。(キャントストップフォーリンヘヴンはさながら天羽ジュネのラ・フラム・ダムールのようですらある)
速水ヒロの演技が始まる。
ブーイングを己の意志のみでかき消し、曲が始まる。
prideを歌うと決めた時、速水ヒロの周りから他人がいなくなり、速水ヒロは速水ヒロとして、誰の事も視線も一切気にせず、「最高のプリズムショーをする*2」と自らを決している。
誰かのためにとか、プリズムキングになれる為の演技をとか、そうした「自分の外」の要素を全て排している。
汝、肉体によって統べられれば、即ち奴隷なり。
汝、心によって統べられれば、即ち王なり。
そういう事である。
肉体により統べられる。というのは、自分の外のものに統べられるということ。それは、誰かからの強制だったり、他人や名誉*3への執着だったり、そうしたものに動かされれば(≒統べられれば)それは、誰か、或いは何かの奴隷だと言うこと。
翻って、心に統べられる。というのは、自分の意志、何者も介在しない、己の、純粋な、意志。ということ。速水ヒロは、それをしている。
(大和アレクサンダーは爆撃や破壊でファンを「奴隷」にした。仁科カヅキはファンの心を解き放たせ、破壊から再生し、更に「奴隷とされたファンの解放を宣言」してみせている。prideの版権買収、プリズムキングへの期待、エーデルローズの経営難、神浜コウジへの執着・依存、何か頼れるものへのあてどない彷徨い、そうした「自らを奴隷たらしめんとするすべての要因」から、解き放たれ、王たる意志を示したのが、速水ヒロのあのプリズムショーなのだ)
そこにおいて、
セイントスプラッシュ*4
絶対に君を幸せにしてみせる!日の沈まない王国ヒロイックキングダム
太陽系の秩序は俺が作る!銀河ブレイクショット伝説!絶対王政パックスヒローナ
王位戴冠!THE KING of PRISM
を繰り出す中で、
プリズムの煌めきが盟友神浜コウジと仁科カヅキを形作り、その盟友の似姿が、速水ヒロに「名誉たるマント」「力たる剣」を渡す。*5
レインボーライブにおける神帰し*6の儀式と同じく7つの像が輝き、王座への階段が現れる。これは、プリズムショーにより現れたものだから、言うなればヒロがそうしているのだが、こう、言い方的にモヤつくが『王になったから』王座への道が出現したのだ。(ルヰは特定の誰かへの想いの表現、つまり他人軸のプリズムショーであり、キング的ではない。これはレインボーライブにおける、聖への想いを燃やし尽くすジュネ*7と、遥かなる孤独な頂へ上り詰める事を宣誓した蓮城寺べるとの対比であろう)
女神*8は真の王を、人に選ばれた王でなく、神の認定として、王冠を渡す。
ここにおいて、速水ヒロは、名実ともに、人と神、なにもかもからどう見ても、「王」になった。
速水ヒロは王になった。本当の王だ。
それを支えたのは曲を作った神浜コウジであり、ファンの心の解放とショーの継続を、自らの競技上の評価を放棄して実現した仁科カヅキだ。
ここで速水ヒロは王でなく、急に「人」に戻る。
聞こえてきた神浜コウジの声にキョロキョロして、涙を浮かべ、姿を見つけると泣きながら駆け寄り、縋り付く。
あのショーにおいて速水ヒロは間違いなく王であり、そしてショーが終われば普通の男の子なのだ……
あかん、泣きそう。
ここまでにしときます。俺が泣くので。
*1:同じ曲は使っちゃ駄目ってのがあるかはともかく、シュワルツローズ所属の如月ルヰがprideを歌えばその段階でprideはシュワルツローズのものとなり、常識的に考えて速水ヒロは涼野姉弟の曲で出場していただろう
*2:そこに付帯する必然の結果として皆を幸せにする。というより、幸せになるし、なった。
*3:これも他人軸だ
*4:全ての人の心が裸になるし、なった。俺も裸だった。裸だったわ。
*5:王の条件だ
*6:≒プリズムワールドと現世を人とコーデの力で繋ぐ行為
*7:余りに燃やし過ぎたので燃え尽きてしまい、競技的な意味での演技完遂は出来ないが、想いは伝わった。あの究極朴念仁の氷室聖に!届けたんだよ!すごい!あと法月皇さんもマリアを思い出してて、それもエモいよな〜!